意外に多いチェーンの伸び
ツーリング中のトラブルで多いのにチェーンの伸びがあります。北海道をツーリング中に伸びてしまって、バイクショップにチェーンを注文したことがあります。十勝平野の三国峠で休憩を取っているときにチェーンが伸びたので何とかしてくださいと、あるライダーに頼まれたこともあります。
なぜチェーンが伸びるかというと、Oリングチェーンはグリースが圧入されていて摩擦を軽減してくれているのですが、このグリースが劣化するかなくなってしまって摩擦を軽減してくれなくなるからです。チェーンの駒の軸が少しずつ磨り減るので、全体としては長くなるのです。
それにしても、直径2mmほどの軸が磨り減ることで、全体としては20mm以上も伸びるのですから、すごいです。
ちなみに、スズキのサービスデータによると、チェーンの新品の長さは317.5mm、使用限度は319.5mmです。
写真のバイクはチェーンの寿命が来ているのですが、1泊2日のツーリングに出るために、応急措置を施して2日間持たせました。
付属の車載工具から、リアタイヤ交換用のレンチを取り出します。
特殊な工具は使用しません。
バイクのリアのナットを緩めます。
最初は必ず手の力だけで緩めます。万一固着している場合、どの程度なのかが分かるからです。
このバイクのナットが固着していました。1年くらいナットを緩めないでおくと、殆どの場合は固着します。
ハンマーでたたかずに、足に体重をかけて回します。
それでも緩まない時は、50cmくらいの長さのパイプをレンチに足して回してください。
緩んだら後は手で回します。
手で回すのは、ボルトやナットのネジ山に以上がある場合、引っかかりがあるので気がつくからです。ボルトやナットやネジを緩めたり締めたりする時に手で回す癖をつけてあります。
ナットが緩みました。
チェーンアジャスタの目盛りを2だったのを3にまで回します。
こうすることでチェーンが張ります。
左右のアジャスターを同じ目盛りにします。
再度、チェーンの張りを確認します。
チェーンを上下に張ってみて、上に張った時に、写真の様にリアリンクに触れない程度であれば十分です。
スズキのサービスデータでは、ドライブチェーンの緩みは20mmから40mmです。
ナットを締めます。
このとき、ゆっくりと締めます。
希にアジャスタがナットと一緒に回転してしまうことがあるので、締めている時にアジャスタを手で固定しておくとよいです。
ナットを締めたら、左右のアジャスタの目盛りが同じであることを確認します。
試し乗りをして異常がなければ作業は終了です。
上記で張りを調整してから、2日間、約500kmを走った後の伸びたチェーンです。
そうとう伸びていることがわかります。
この様にグリースがなくなったチェーンでツーリングをする時、チェーンの張りを調整する作業を毎日する必要があります。
それで、2日でこれほど伸びるので、持たせても1週間が限度です。
チェーンの在庫を持つバイクショップを見つけるまでの応急措置と思ってください。
寿命が着たチェーンを分解すると、写真の様になっています。
軸は摩耗して段差が発生していて、オーリングは固くなっています。圧入されていたグリースは無くなっていて、軸もオーリングも乾ききって錆だらけです。
H.N.うーたん(Yuichi Mizunuma)
当サイトの執筆・撮影とシステムの製作等全てを行っています。林道への案内板やクライミングトークのWebMasterでもあります。使用バイクのジェベルXCは1997年型、2002年型と乗り継ぎ、三台目の2004年型のジェベルXCを売却して、現在はバイクツーリングには行っていません。、これまでのツーリングの総走行距離は約21万kmです。
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2013年まで、春夏秋冬、北海道から九州沖縄まで、ツーリング・登山・サイクリング・パドリング(カヤック)をしています。年間のテント泊数は40泊から60泊程度、日帰りを含めると年間80日くらいはアウトドアにいました。
現在は東京都八王子市高尾に在住しています。オートバイから少し離れていて、主に登山とサイクリングを趣味にしています。
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