間近でエゾジカが見られる知床
北海道を旅して最もよく見かける野生動物はキタキツネとエゾジカでしょう。
この動物たちは深い山に分け入らなくても、郊外の里山や国道、道道でもよく見かけるし、時にバイクや車の前に飛び出してきて運転者をあわてさせることもあります。
ここで紹介するのは知床半島のエゾジカです。
ご存じのように知床半島は半島全体が国立公園に指定されているので、エゾジカが狩猟の対象とはならないからでしょう、実にのんびりとしています。人間を見ても、すぐ脇をクルマやバイクがけたたましい音を立てて走りすぎても、草を食べていました。
わたし自身、1mほどの距離に近づいてみたのですが、そのときは2,3歩だけ前に進んで、一応一定の距離を保っていました。
人間に対する警戒心が無いのはこのエゾジカだけではなく、同じ知床半島の相泊や岬町で見かけたエゾジカも実にのんびりとしたものでした。
先に知床のエゾジカの話を書きましたが、知床半島を除くと一般にエゾジカは実に臆病で敏捷な動作をします。
国道や道道の脇にエゾジカがいるときに、たまたまバイクや車が通りすぎると、その音に驚いて逃げ出します。ところが逃げる方向を間違えて道路に飛び出してきてしまうエゾジカが結構います。
このため、毎年交通事故に遭うエゾジカが沢山いるとのことです。
わたしは小鹿と衝突してしまったので、これから修理に行く途中というドライバーと話をしたことがありますが、衝突したばかりのレガシーのバンパーは大きく曲がり、フロントグリルは派手に割れていました。
わたしがエゾジカに目の前を横切られるのは、ほとんど林道を走行中の事で、国道や道道に比べると速度が遅いためさほど危険な目には遭っていません。
例外は1999年夏、道北の名寄市の東側にある奥珊瑠林道の奥サンル峠を越えた後にある緩やかな下りの直線路で飛び出されたときです。ダート路面とは言っても下りの長い直線路だと70km/h以上のスピードは出ているので、さすがにひやりとしました。
道路脇の草が動いた瞬間に、反射的にブレーキを緩くですがかけ始めたので事故を免れました。
通常は人間やバイク、クルマから逃げようとするエゾジカですが、時には変わった動きをします。
道北の猿払村を東西に横切る未舗装の道道732を走行していたときのことです。すでに日没の時間が過ぎて残照の薄明かりを頼りに走っていましたが、100mほど先にひょいとエゾジカが道路に出てきました。
これだけの距離が有れば通常は事故など起きようもないのですが、このときのエゾジカは逃げもせず道路に立っていました。しばらくして何を思ったのかわたしの乗るバイクに向かって一目散に駆け出しました。双方向かい合って走っているのでみるみる距離が近づきます。
びっくりしたわたしはブレーキをかけながらアクセルを2、3回大きく空ぶかしすると、エゾジカは我に返ったように立ち止まり、やがて森の中へ消えて行きました。
オーストラリアに住むカンガルーは、夜間にクルマのヘッドライトを見るとそれに向かって突き進んでくる習性があると聞いていますが、ひょっとするとエゾジカも個体差によってはそのような癖を持っているのかもしれません。
画像はエゾジカと出会った道道732です。
以下雑談
オフロード4WDのバンパーにフォグライトなどを取り付けるフレーム型のごついバンパーを付け足すのが今や主流ですが、元々はオーストラリア人が万一カンガルーと衝突しても最小限のダメージで済むようにと考案したとも言われています。
クルマの正面にはラジエーターが有るので、カンガルーがここに衝突するとラジエーターが破損、エンジンを冷却できないクルマは動けなくなってしまいます。
(ごついバンパーの由来はカンガルーバンパーの他にサファリラリーのアニマルバンパーという説もあります)
H.N.うーたん(Yuichi Mizunuma)
当サイトの執筆・撮影とシステムの製作等全てを行っています。林道への案内板やクライミングトークのWebMasterでもあります。使用バイクのジェベルXCは1997年型、2002年型と乗り継ぎ、三台目の2004年型のジェベルXCを売却して、現在はバイクツーリングには行っていません。、これまでのツーリングの総走行距離は約21万kmです。
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2013年まで、春夏秋冬、北海道から九州沖縄まで、ツーリング・登山・サイクリング・パドリング(カヤック)をしています。年間のテント泊数は40泊から60泊程度、日帰りを含めると年間80日くらいはアウトドアにいました。
現在は東京都八王子市高尾に在住しています。オートバイから少し離れていて、主に登山とサイクリングを趣味にしています。
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